Muranaka Diary

2021.09.14

金木犀

遠い昔の話しである。

ぼくの時代はまだインターンというのが

あって国家試験前に、美容学校を卒業してから

一年間、美容室に入って実習を行う。

教えてくれるのは美容室の先生や先輩。

美容室の場合、実習を教えてくれる人を

先生と言う。その名残りが今も継続して使われる。

勉強は一年間を通して行われ、それを習得(修行)

した者に国家試験の受験資格を与えられるんだ。

勉強は仕事が終わってから学ぶ。

終わりは終電に間に合うほど行われる。

ほどほど疲れてアパートに歩いて90分、帰り道、

そうだ、

この季節か、10月だった、、、。

金木犀の香りが漂っていた。

風下にいるとフワ〜って優しい香りが…

北国育ちのぼくは初めての香りだったので

それがとても新鮮で癒されていた。

 

「この匂い、何だろう?」

 

パーマ液の匂いともちがうし、シャンプーの

香りともちがう。

香水の匂いには無い。

スプレーや、ヘアクリームともちがう。

今でこそスマホで調べることが出来るんだけど。

それがキンモクセイと知ったのは

通りすがりのカップルの言葉からだった。

 

「あ!金木犀を踏んでしまった…」

 

「困ったなぁ〜クサいのが取れないんだ」

 

(>人<;)

 

それから金曜日と木曜日は

待ち遠しく感じたものだった。

 

あの頃に戻りたくとも戻れない…

 

 

⇧金木犀