Muranaka Diary

2022.06.30

オレやっぱり一代

辞めろ、辞めろ、辞めるんだ〜!

毎日のように先輩から言われてたけど、

辞めるわけには行かない。

どんなに不器用であっても他に行くサロンが

無いし、当時は入社1〜2年でサロンを移るのは

タブーとされていた。

あまり毎日のように「辞めろ」と、言われるとどーでも

よくなるのも事実。

すでにぼくはインターンも終わり、

国家試験にも合格していたがサロン内の

シャンプー技術試験は不合格で、モデルの先輩の背中に

お湯が入ってしまったり、噴水のように

店内を水没させるくらい悪戦苦闘をしていた。。

オレには本当に不向きな仕事なんだろう…

どうしたら良いものか。。

毎日のように考えていた頃、

ロンドンからヴィダルサスーンと言う人と

サスーン氏の片腕だった川島文夫先生が帝国ホテルで

カットショーを行うという案内を目にして、

当時としては珍しいヘアカットのショーを見たいと思い、

行く事になったんだ。相当にトンだ話しである。

先輩たちに笑われて、

 

「キミがかぁ〜!?🤣」

 

はい、、、!ぼくがです🙏

 

いよいよ当日、会場は激混みしていたけど

一番前に座る。

もう羞恥心や失うモノはないし、業界から

別れる前に一度でも見たいと思い、よく雑誌で

見かけていたサスーン氏、

写真ではなくホンモノ見たさで来てみた。。

 

結論

 

それは衝撃的で今までのサビ付き始めていた自分の

ココロに突き刺さった、、、グサっ!と。

何と初めて見る小さなハサミでカットしている。

それが後にブラントカットという技法。

ヴィダルサスーン発案の緻密な計算されたカットを

目の前で見させてもらった。これを、

ジオメトリックカットと呼ぶ。

サスーン氏も素晴らしい英語なのだろうけど

すぐ横で入念にカットをしていた川島先生の

作っていたボックスボブを見て失神しそうになり、

 

「オレもこういうヘアスタイリスト、スペシャリストに

なりたい!」

「この人の弟子になりたい!」

 

オレはそこから変わったんだねぇ。。。

何と小さな事で悩み続けた3年間。

翌日、勤務先の店長に退職届けを提出した。

ところが、

「ウソでしょ?」

「これは受付ません!」

 

イヤ、皆さんに迷惑かけられないから…

 

すでに心はロンドンのヴィダルサスーンに行く事しか

考えていなかったのだ…。

【いつか続く】

 

 

さて、オレ一代で終わる美容師業、

たくさんの苦労からここまで成長してきたのは

いつもサスーン氏や川島先生、目指す人が

いたからこそ。

それに今は上手く出来た作品に喜んでくれるお客様の

笑顔が嬉しい。

そんな単純なことだけど、その単純なことの

裏には自分の汗と涙の積み重ねがあります。

職人とは技術や夢を追求する人。

商人とは売り上げ勘定の出来る人。

結局は両立は出来なかったぼくですけど、

それが良かったのか、

ダメなのか、

今のところその答えは出ないですけど

コツコツ、今はもうポンコツだけど

感謝しながら、今は昔の先輩、そして

僅かになったお客様に有り難みを感じています。

 

 

日本中が異常気象、6月の不思議な天気、

梅雨明けの今季の夏は体に気をつけて

お過ごしください。

今月もぼくの日記にお立ち寄りくださり、

ありがとうございました。

 

感謝